人事・労務の玉手箱掲載原稿 2013年度掲載

まず、前を向かせていますか?

投稿日:2013年3月30日 更新日:


以前、東洋経済オンラインに興味深い記事が掲載されていました。滋賀県の県立北大津高校の野球部を率いる、宮崎さんという方へのインタビュー記事です。

1994年から率いる同監督は、約20年のうち、春夏合わせて6度の甲子園出場というすばらしい実績を残されています。関西には「甲子園の常連校」と呼ばれる私立の高校がたくさんありますし、甲子園出場のためなら他府県に野球留学もする時代です。
そうなりますと、より県立の野球部によい人材が集まることは少なくなります。その中でこれだけの成績を出す事はとてもすごいことだといっていいわけです。

さて、決して突出しているわけではない人材を磨きに磨いて甲子園にひっぱっていく指導法、一体どのようなものでしょうか?

インタビュー記事を私なりにまとめますと、その指導法には「結果的に」3つの段階があったことがわかります。

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第一段階
「前を向かせる」段階

第二段階
「型を教える」段階

第三段階
「自分で考え、決定し、行動できるようにする」段階

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監督就任した当初は、「伸びきったグラウンドの草をキレイにするまでは練習をさせない」という方針を出したことで部員は1人になった。残った1人は練習をしたいから草むしりを頑張ったし、辞めた部員も「頭を下げて」戻って来た。まず、戦う為に前を向かせたのです。

前を向いた部員達には「オレの言う事聞いてついてこい!」とグイグイ引っ張っていき、強くはなったが甲子園には届かない。そこで「1から10まで指示を仰ぐ部員」から「自分で考えて決めて行動し、戦える部員」へと、自主性を養う方針に切り替えた結果、戦える、勝てる集団に進化したとのことです。

もちろん、試行錯誤しながらですから、「結果的に後から見れば」この3ステップに集約されただけなのでしょう。ですから、わたしは組織によっては最初から自主性を持たせる第三段階に行ってもいいと思います。

ですがその場合、第二段階の基本的な「型」がポロポロ抜け落ちていることがあります。仕事の基本スキルであったり、基本的な躾、マナーのことであったり。その場合は、都度第二段階の「型」を教え、それを使ってもらいながら自主性を大事にし、個の能力や特性を最大限に活かすこと。着地点は変わりません。

繰り返しますが、必ずしも順番はこの3ステップでなくてもよいわけです。組織を校正する人たちの特性や組織風土によって異なりますから。

ただ、第一段階は共通しています。
まずは前を向くこと。
前を向かないと自分で考える事はおろか、型を教えても浸透するはずがないのです。

まずは、前を向かせること。教えるのも引き出すのも、その次なのです。

-人事・労務の玉手箱掲載原稿, 2013年度掲載

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