人事・労務の玉手箱掲載原稿 2013年度掲載

スタッフ育成に応用する順次戦略と累計戦略。

投稿日:2013年4月30日 更新日:


順次戦略と累積戦略という戦略の分類法があります。

前者はビジネスの現場でよくあるやり方。
つまり、1つの目標を定め、その目標に対して打ち手を1つ1つ決定し、実行して行くやり方です。

それに対して後者は、目の前のことから取り組み、細かく積み重ねていくやり方です。つまり、それぞれの打ち手に関連性はなくとも、積み重ねることにより、ある段階で一気に効果を発揮するというやり方です。

この戦略の分類法はもともと、元米海軍の将校、J・C ワイリー氏が提唱したものです。太平洋戦争での米海軍の動きになぞらえ、この2つのやり方を提唱しています。

これは戦争という中での組織の戦略についてですが、人の成長においても同じことが言えると思います。

人の成長においても、順次戦略では「決めた通りになる」ことが強みで、累積戦略では「決めた通りにならない」ことが強みになります。

なぜなら、前者では、全員が均一で一定のスキルは身につくものの、想像の範疇を超えた成長や化学変化は見られにくい。一方、後者では化学変化がおきやすい。いわゆる「規格外」の人間が生まれる可能性が出てくるからです。もちろん、双方の戦略にはメリットもあればデメリットもあります。ですから、自分でバランスをとり、うまく組み合わせて行くことが必要です。

必要最低限のスキルは順次戦略で、それ以上のスキルは累積戦略により、個人の長所や興味のポイントや適正に合わせて開発していくことが、組織と人の成長を考える上でバランスがよいわけです。これが、多様性を認める、多様性を生み出す強さです。

ですから、ここで気をつけたいのは、経営者やリーダーの接し方です。
経営者やリーダーが順次戦略に偏りすぎると、目標に合致しない実行を行なっているスタッフを認めることが出来ません。

「何そんな無駄なことをしているんだ!」
「遊んでいないで仕事をしろ!」
と、叱責することになります。

それは「多様性」を否定することになり、組織発展の機会ロスを招くことになります。ぜなら、多様性を認められない組織は、経営者やリーダーの「縮小再生産」のものしか生み出さないからです。
誰もがビクビクしながら経営者やリーダーの顔色を伺い、余計なことをしなくなる。結果、スピードは鈍り、組織の空気は淀み、“経営者やリーダーのための”仕事しかしなくなり、組織は衰退するわけです。

ゆえに、経営者やリーダーは順次戦略と累積戦略をうまく使えた方がいい。彼らの意識や接し方は、組織の風土や人の成長において、発展か衰退か、どちらの道を進むのかを決めるのです。

是非、見直してみてください。

-人事・労務の玉手箱掲載原稿, 2013年度掲載

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