人事・労務の玉手箱掲載原稿 2014年度掲載 組織論・チーム論的なもの リーダーシップ

仕事で指示は1から10まですべき?

投稿日:2014年6月30日 更新日:


性格からビジネスモデルをつくる。
コンサルティングにおいて私はよくこの言葉を使います。私のコンサルティングにおけるコンセプトの大事な一部分です。

さて、なんのこっちゃわかりにくいかと思いますので、補足がてらこのようなお話を取り上げてみます。

ある専門学校がありました。生徒数は少なく、毎年の赤字。「存続か廃校か、この1年で決めなければならない」というタイミングで、私にコンサルティングのお鉢が回ってきました。

結果から言いますと、1年後、願書数は昨年の5倍。当時は少子化から大学全入時代への突入もあいまって、専門学校業界には“一般的に”逆風が吹いたとされるタイミングの悪さ。その中でも、おそらく、全国的にもギネスといっていい伸び率だったと思います。

打った手は極めてベーシックな手。
集客ルート別の数値管理を徹底し、説明会の組み立て方、表現の仕方まで、徹底的に「指示」をしたわけです。それにより、集客数と歩留まり率(成約率)の最大化をはかりました。つまり、こちらのビジネスモデル(※ここでは、売上、利益の出し方の意味で記載します)を、1から10まで指示通りに取り組んでもらったことになります。

しかし、業績が上がったのはいいのですが、その当初から言いようのない息苦しさを感じていました。結果的にその数年後、当時一緒に業績回復に取り組んだスタッフは全員辞めてしまいました。1人1人の退職理由はわかりません。ですが、当時のメンバーが1人も残らなかった事実から、言いようのない息苦しさは確信に変わりました。「明らかに何かが間違っていた」のです。

そして散々悩んだ結果、その原因に対して1つの結論に辿り着きました。
それが、
「1から10まで指示をしてもろくなことにならない」
ということです。

この件が分岐点となり、私は「すぐに売上を上げることのみを目的とした、短期促成栽培的なコンサルティング」は、基本的に行わなくなりました。もちろん、場合によっては、まず売上、利益をさっさと上げることが必要で、そのための手を打ちます。そりゃそうです。つぶれたら元も子もないですから。

しかし、そんなときでも同時に考えるのが「副作用」だったりします。巷には「スグに〇〇できる〜」といったインスタントな方法が溢れかえっています。その方がわかりやすく、手っ取り早いからです。でも、そこには「強い副作用」が伴う可能性が高いことを忘れないで下さい。

すぐに売上を上げようとすると、目的に沿った設計図通りに「指示」をすることが目的達成の最短ルートになります。ですがその分、最初に描いた絵を超える結果は得られません。社員、スタッフを“ビジネスモデルのパーツ”として見なしているからです。

誰しも何かしら能力を持っています。

それを発掘し、発見し、伸ばしてあげるのは経営者や管理層の大事な仕事の1つです。思いがけない結果が出るのは、そういった個々の能力からビジネスモデル(売上、利益の出し方)に結びついたときです。それは、「指示」からは生まれません。人とその背後にある可能性を見ながら、地道に方向性や方法を示してあげることしか出来ません。そして、待つこと。

それが、性格からビジネスモデルをつくるということです。

1から10までを「指示」しても、大きな結果、思いがけない結果にはつながらないのです。

-人事・労務の玉手箱掲載原稿, 2014年度掲載, 組織論・チーム論的なもの, リーダーシップ

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