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「好きを仕事に」ってウソ?

投稿日:2014年7月27日 更新日:


「好きなことして食えている人って、どれくらいいるのかな?」

昨日、先輩社長と肉をつつきながらこんなフレーズが出ました。

「好きを仕事にする」というキーワード。一時期流行りましたよね。好きなことを仕事にする。そうすれば、自分の強みが発揮されるし、楽しいから時間を忘れて無我夢中で働くことができる。結果として生活の糧となるお金を手にすることができる。最近でも「ありの〜ままの〜」という歌が流行ったくらいですから、その流れは底流として存在するのでしょう。
何にせよ、たいていの人は自分の好きや才能を活かしたいと思うものだし、そこからスタートして経済的にも両立できれば、シンプルにいい人生なんじゃないでしょうか。


私個人的には、好きなことが仕事になって思いっきり儲かればそりゃそれでとてもいいことだと思います。本来持っている才能を活かせますから。なので、「好きを仕事に」というフレーズを否定するつもりはありません。

そこで、冒頭のフレーズ、「好きなことして食えている人って、どれくらいいるのかな?」です。 このフレーズを切り取ると、「好きなことを仕事にして食えている人は少ない、難しい」し、場合によっては「そんなのは理想論。無理な話」というニュアンスも受けます。つまり、「好きを仕事にする」の対極にあるようなフレーズと捉えることもできます。

でも私、このフレーズにも「あぁ、そうだよな。それもそうやな」と、結構納得出来るのです。それは、彼の口からこんな話を聞いたからです。


ある研修会社の社長は、伸びる意欲のある社長や管理職向けにこそ、思いっきり教えたい。
でも、来るのは「ダメダメ管理職」ばかり。そこに思いっきり需要がある。

あるコンサルタントは、本当は企業戦略が得意で、その仕事がしたくてたまらない。
でも、来るのは「営業力強化の案件」ばかり。出版した営業本が売れすぎて、「〇〇さん=営業の人」というイロがついてしまっている。そこに思いっきり需要がある。

あるホームページ会社の社長は、本当はホームページを製作したくない。
でも、製作を求められることが多く、結果が出てしまうから依頼が来る。そこに思いっきり需要がある。

これらのように、本来好きなことと求められていることが異なる場合があります。つまり、「好きが仕事にならなかったから、その周辺の儲かる(需要がある)分野が結果的にメインの仕事になっている」というわけです。


ここで考えたいのは、「好き」とか「強み」と思っていることって、案外「ただの思い込み」だったりすることもあるんじゃないか、ということです。 打ち合せの後、家に戻ってふと、ずーーーっと積ん読状態だったこの本を開いてみると、ちょうどこんなことが書いてありました。

コアコンピタンスの誤謬
最近クライエント企業にコンサルティングをしていて、大変気になるところがあります。それは、クライエント企業が新たな事業展開をする場合、自社の強みベース展開に過度にこだわる姿勢です。(中略)
しかし、自社の強みベース展開には四つの問題があります。(中略)
第二に、業界に影響を与えるなんらかの出来事により、自社の強みが強みでなくなることも、現在の経営環境の中ではしばしば起こります。(中略)
第四に、私はこれが一番重大な問題だと思うのですが、自社の強みへの思い込みが、イノベーションを阻害するということがあります。人間には思考の時間・手間を節約しようとする強い動機づけが働きます。(中略)他社と同じような経験、他社と同じような外部からのメッセージに基づく思考のパターン化は、皆を思考停止に陥らせ、イノベーションを阻害することになります。
プロフィット・ピラミッドP211-212から抜粋して引用


この本
、高収益企業の特徴を14の原則にまとめたものですが、「好きを仕事に」という個人にとっても全く同じことだと思います。

第二原則に当てはめると、
「自分で好きとか強みとか思っていることが実際そうではなかったり、時とともにそうでなくなったりする」とも言えます。

第四原則に当てはめると、
「好きや強みをベースにすることにこだわりすぎると、発展がない可能性がある」とも言えます。


もちろん、自分の好きを仕事にされている人もいます。大好きなニッチを商売にし、10年以上続けて「日本でオンリーワンのお店」をつくりあげた社長もいます。なので、「好きを仕事に、そしてそれで食える」というフレーズは、本当でもウソでもあり、人によっても切り取る時間軸によっても違うということになります。

大事なのは、好きなことと求められていることは違う可能性もあるということじゃないでしょうか。好きなことをしていてもモノにならない場合、時には「気が進まないことでもやってみる」「好きなことからちょっとズラして周辺の領域に手をつけてみる」ことが、新しい可能性を開き、儲けの源泉になることはきっと多いと思います。

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