組織論・チーム論的なもの チームづくりのヒント

2:6:2の法則のウソ②

投稿日:2015年1月6日 更新日:


こんにちは。唐木です。

以前、2:6:2の法則のウソというエントリーを書いたのですが、なぜか検索される回数が多いので、追記の代わりにエントリーを追加してみます。



・2:6:2の法則のおさらい


さて、そもそも2:6:2の「法則」と呼ばれる法則らしきものですが、こんな意味だったと記憶しております。

これは組織を構成するメンバーを、優秀な人、普通な人、そうでない人に分けたとき、たいていの組織におけるその比率は、おおよそ2:6:2になる、というものです。 なので、どっちみちこういった比率に分かれるなら、最初から優秀な2割の上位グループと、6割の普通グループの中でも優秀寄りの人とに注力した方が、ムダな労力も時間使わず効率的だということ。

それと、後のメンツは確変が起こればラッキーで結果オーライだけど、大して期待もしていないからダメなら早めに切り捨てる。 そんな野蛮な発想の人が好んで使う「法則らしきもの」です。

で、「それって違うんじゃない?」ってことで書いたエントリーが前回のものですが、今回は違う角度から「やっぱり2:6:2の法則ってどうなのよ?」ということについてお伝えします。



・2:6:2に分けていない「七人の侍」

mother-10516_1280

このサイトの別のエントリーでも書いていますが、内田樹さんのブログで書かれていた“らしい”このくだり、私、好きなんですよね。 名作、七人の侍のチーム構成におけるこの分析を聞くと、やはり、2:6:2の法則は法則らしきものに過ぎないんじゃないかなと思います。

ちょっと引用します。

もっとも耐性の強い共同体とは、「成員中のもっとも弱いもの」を育て、癒し、支援することを目的とする共同体である。そういう共同体がいちばんタフで、いちばんパフォーマンスが高い。これは私の経験的確信である。

それゆえ、組織はそのパフォーマンスを上げようと思ったら、成員中に「非力なもの」を意図的に組み込み、それを全員が育て、癒し、支援するという力動的なかたちで編成されるべきなのである。

その好個の事例が「七人の侍」における勝四郎の果たした役割である。この七人の集団は、考えられる限り最小の数で構成された「高機能集団」である。

————–引用元:内田樹さんのブログから引用したどこかのブログ



つまり、強いチームづくりには、育てる人と育てられる人、それぞれの役割を担う人が必要だということです。

育てる人は、
他人を育てようとする行為を通じて自分も育てることができ、

育てられる人は、
育てられる行為によって自らが育つことはもちろん、「いずれ入ってくる育てられる人」へと、育てようとする行為を伝承することができます。
また、育てられる人は、その存在そのものが、チームを癒す役割も担っています。

これ、まさに自律的な組織です。メンバーの新陳代謝が起こっても自助努力によって回復や成長ができる組織です。「トカゲのしっぽ切り」に終始する、下位グループの2割を切り捨てる発想の組織にはない組織的能力です。



・トカゲのしっぽ切りをしてもいいことはない

lizard-357183_1280 (1)

「トカゲのしっぽ切り」という言葉が出てきましたが、昔の人は本当にうまい表現をしていて、見事、こういった組織論に当てはまります。いかに2:6:2の法則に基づいてトカゲのしっぽ切りをすることがいい事なしなのかがよくわかります。

トカゲのしっぽ切りは、こんな風に行われるようです。


1.
トカゲがしっぽを切って外敵から逃げることを自切という

2.
ただ、実際は、しっぽに刺激を受けたとき、その刺激は背骨に伝わることで自然にしっぽが切れるようになっている。トカゲの意思とは無関係に切れること自体を反射運動という

3.
たいていの種では切れたしっぽは数ヶ月でほぼ元通りの大きさに再生するが、それまでは小さく、形は変である状態が続く

4.
しっぽには栄養が詰まっているため、しっぽを切られたトカゲは外敵から逃げにくくなる

5.
また、しっぽを切られたトカゲは、トカゲ内での順位も下がるらしい


こんな感じです。

これ、そのまま組織にも当てはまるように思います。

2:6:2の法則に基づいて切り捨てる発想でいると、トカゲの本体のように組織としての能力が下がる。なぜなら、本来育てられるべき下位2割の人たちは、トカゲにおけるしっぽのように「栄養素」だからです。


育てられる役割を通じ、育てる側に栄養を送り込む。
その栄養をもとに、さらに育てる側が育てられる側に「育てようとする栄養」を送り込む。


ここにエネルギーの循環と、それによる各人の成長が起こるわけです。


結局、トカゲのしっぽ切りの発想では、効率的に進めようとした結果、逆に非効率になっているということ。


この点からも2:6:2の法則は、求める成果に対する必要能力パラメータとして目安程度に活用するのはいいけど、注力する精鋭の絞り込みになんて使ってしまうと逆効果になると思われます。

組織としての価値も下がりますよ。



前回のエントリー:2:6:2の法則のウソ①

-組織論・チーム論的なもの, チームづくりのヒント

執筆者:

関連記事

相手ではなく、ビジョンに向き合おう。

こんにちは。唐木です。 先日、友人にお誘いいただき、 カブキ竜平さんの講演会に伺いました。 高校生からの哲学 般若心経に学ぶ という本を執筆されていて、 長年教育の分野で尽力されてきた方です。 この日 …

遊びを残しておけば面白くなる。

こんにちは。唐木です。 頭の線をつなぎかえる目的もあり、昨日は晩ご飯を自分でつくってみました。 いつもと全く違うことをやってみようということです。 出来上がりはこんな感じです。 めちゃめちゃ時間かかり …

仕事はお金か?やりがいか?

人が働くモチベーションを支えるものは何でしょうか?成果主義に代表されるような「お金」かもしれませんし、仕事そのものの「やりがい」かもしれません。あなたはどう思いますか?   こんな実験があり …

社員には指示すべき?それとも任せるべき?

前回のコラムで、「1から10までを指示しても思いがけない成果は出ない」という内容をお話ししました。そうなると、「1から10まで指示をするとろくな結果にならないなら、指示をせず、社員に任せっきりにした方 …

2:6:2の法則のウソ①

こんにちは。唐木です。 昨日は個人的に評価制度やら2:6:2の法則やら、人事関連のお話が集中したので、その辺についてまとめておきたいと思います。 ▼ この本、すごーく面白くて一気に読んじゃいましたが、 …

アーカイブ

ソーシャルメディア