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1万時間の法則から、仕事で伸ばすスキルについて考えてみる(その2)

投稿日:2015年4月7日 更新日:

 

1万時間の法則についての前回のまとめ

 

こんにちは。唐木です。

 

前回の記事で「1万時間の法則」について取り上げました。スポーツに限らず、仕事でも個人がパフォーマンスを上げて行くにはある程度のまとまった時間を集中投下する必要がある、ということでした。

 

で、その「まとまった時間」の目安が「1万時間」ということでしたが、あくまでこれは平均値であり、シンボル的数値とも言えるのではないかということ。つまり、「一定のレベルに達するに必要な1万時間」は「人によって違う」わけです。

 

なので、入社3年目の社員が「周りと比較して」将来に迷うことが多いようですが、「1万時間の長さは人によって違う」ことを認識していれば、より冷静に次の一手を打てることになります。

 

その上で今回は、改めて何をチョイスするかという「選択」の話です。

 

 

1万時間の長さの違いをもたらすもの

 

何を選択するか。

 

スポーツの場合ですとそれを好きかどうかも重要な要素ですが、やはり遺伝子上の向き不向きは見た方がよいです。先天的な遺伝子が決定する要素って実はパフォーマンスの30%程度と言われていて、後は後天的な努力や方法や環境が左右すると言われています。

 

これ、見方によって結構違いますよね。30%を小さいと見る人もいれば、30%を大きいと見る人もいる。私は後者。なぜなら、30%ってお店でいえば地域一番店のシェアですから、地域内の他店や価格や需給バランスなどなどに与える影響は大きいわけです。

 

それに、アスリートはたいてい突き詰めて練習して自分を高めて行きます。放っておいても。ですから、後天的な努力ではどうしても埋められない要素が30%もあるって、勝負の最終地点では致命的な差になる気がしてなりません。

 

これはスポーツ以外のあらゆる分野においても同じなようです。1万時間の長さの違いには「技能修得のマタイ効果」が、明確にあるとされています。

 

マタイ効果とは、社会学者がよく引き合いに出す用語のようで、聖書の「マタイの福音書」のこの一節に由来したものです。

 

「持てる者はさらに与えられて富み栄え、持たざる者はその持てるものさえも取り上げられるであろう」

 

つまり、スポーツでもセンスがある人の方が競技のレベルアップが早いのと同じように、元の才能の有無は成長スピードを大きく左右するということが証明されているようです。

 

たとえば、1908年、今からおよそ100年以上前に近代心理学者の父と言われるエドワード・ソーンダイクによって、こんな実験が行われました。

 

年配の成人(当時は35歳以上)に対し、3ケタ×3ケタの計算をできるだけ早く暗算で計算させました。この実験を100回くり返すと、多くの被験者が暗算を最初の半分の時間で出来るようになったというものです。つまり、訓練を継続し、それがある程度の量を超えると飛躍的に能力が向上するということです。

 

しかしながら、この話には「続き」があります。

 

実は、同じトレーニングにもかかわらず、被験者間の差は徐々に拡大した、とのことです。つまり、初期能力とトレーニングで獲得される能力には「正の相関関係がある」ということです。初期能力の差によって学習効率にも明らかに差が生まれ、それは時間とトレーニングの経過とともに拡大して行くということです。

 

まさに

 

「持てる者はさらに与えられて富み栄え、持たざる者はその持てるものさえも取り上げられるであろう」

 

という、聖書のマタイの福音書の一節と同じことなのです。

 

 

では、仕事における選択の条件は?

 

そう考えると、「じゃあ、やっぱ自分って才能がないからこんなに差がひらいているんじゃないか」と、初期能力に責任転嫁してしまうかもしれません。

 

たしかに、その分野における初期能力の差は間違いなくあるでしょう。それは「その時点での」結果には大きく影響を与えるかもしれません。しかし、仕事ではその「初期能力」をアスリートの場合と同様に捉え、責任転嫁するのは間違っています。なぜなら、アスリートの初期能力は埋められない溝ですが、仕事における初期能力は、「埋めなくてもいい溝」だからです。

 

では、そもそも、仕事における初期能力とは何でしょう?

 

これはもちろん、センスや得意不得意はあると思いますが、「努力を継続出来るかどうか」を考えると、「好きかどうか」や「やっているうちに好きになれるかどうか」は大きな要素ではないでしょうか。

 

そう考えると、向き不向きはあまり考えなくていいでしょうし、途中で土俵(勝負する場所)を変えてもいいわけです。スポーツと違い、ビジネスはだいたい何でもアリですから、勝てなかったら勝手に土俵を変える、もしくは土俵をつくればいいわけです。

 

なので、「好き嫌いで選択する」ということは案外大事。これは、「トレーニングによって獲得出来る能力」を高めるには単純だけどバカに出来ない方法だといえます。

 

仕事で伸ばすスキル選択を考える上で、「好き嫌い」以外にもう1つ、成果を大きく左右する要素があると思いますが、それは次の記事にまわします。

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